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小説 夏と罰 (上・下)

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その日は、夏を嫌悪するには十分すぎる空だった / うだるような夏が身体を侵食していく
十分すぎる空だった / 君を攫った季節が舞い戻ってくる
汚れのない青がどれほど憎らしかったか / 空は彩濃く 置き去りにされた僕だけが
理解など求めても無駄であろう / この世界で風に揺れてそこに在った

自分の存在はこの世界に1ミリ足りとも傷を残せず / 君の飲み残しのような人生を
生を受けたのも神の気まぐれ / 背負って生き続ける僕の身にもなれ
対して、全てから祝福されている / 君が諦めてしまった世界で
君は煌煌と / 一文にもならない
「夏、終わるの寂しいよな」 / 懺悔を続けている

君の屈託のない笑顔が私の喉を一掴み / 僕が手を離したあの一瞬を君は
絞めるでもなく、ただただ罪悪感を植えつける / 僕に一生後悔させる気なんだね
信頼も友情も塗り潰しうる劣等感と / 思い出など何の意味もなさない
私は共生し続けるのか / 君の呪いのような寝顔の前では

君を壊してやりたいと思った / 神も仏も救いはもたらさず 永遠に裁かれない
そんな自分を恥じてもいたが / 僕は瞼すら閉じられぬ
一度でいい、聖人のような思考を歪めて、 / 何も感じない心であるのに
醜い内面を抉り出してやるのだ / 焼け付くような痛みだけ残るのは何故

見ろ!見ろ! / 僕に慰めの機会など与えず君は
今からお前を突き落とす / ただ夏を罰として刻んでいった
裏切りは随分前から計画されていたと 全てを知った君の顔に / 祭りの甘い林檎のような頬に手は届かぬ
私は青すぎる空を見たい / この先一度として
「あっ、お祭り / それが冬であったならば
5時にいつものとこ集合な」 / 凍った声に諦めもつくだろうか

ああああ ごめん、ごめん、ごめん、ごめん、 / 僕が手を離したあの一瞬を君は
ごめん、ごめん、ごめん、もう無理だ、無理です、 / 僕に一生後悔させる気だとしても
無理だ、許して、嗚呼、許して、 / それが本望であると受け入れてしまえば
許して、 / 君は二度と僕の元へ帰ってこない
助けて、神様 / 君が好きだと僕が喉裂けるほど泣いても

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