寂れた古城の跡を飛びゆく鳥を見てた
思い出は雫になり薄暗い路地裏の石畳へ滲む
いつしか振り出してきた小雨が纏わりつき
薄情けのように肩を濡らして惜別を唄う
何処へ行けというのかどうせ解らないなら
どうしても消せなかった想いの残響辿ろうか
遥か遠い憧れを追い掛けるようなあてなき旅より
翼を羽ばたかせて自分の生きてる この場所の
風景を知っていたい それだけさ
目覚めて忘れてしまう悲しい夢のようさ
黄昏の余韻に似た仄かな切なさが胸の奥に触れる
外套の襟を立てたらもう少しだけ歩こう
騒めきの代わりに雨の音が靴音を消した
何処へだって行けるさだけど此処にいるのは
この細い路地裏だって青い空が見えるから
渡り鳥は旅立ったそれでもいつかは 戻ってくるだろう
異国の風の便り届けてくれるのを この場所で
流離わず待っていたい それだけさ
やがて雨は降り止んで煤けてる壁に囲まれた路地に
差し込む夕日が影を石畳の上伸ばしていく
遥か遠い憧れを追い掛けるような 果てなき旅より
命あっての物種自分の生きてる この場所で
人生を感じたい それだけさ